むかし、むかし、てんのかみさまのてんていには、おりひめというむすめがいました。
おりひめは、はたおりがとてもじょうずで、まいにち、まいにち、はたをおっていました。
そんな、おりひめについててんていは
「としごろになったむすねに、いいけっこんあいてはいないか」
と、けっこんあいてさがしていました。
そんなとき、はたらきもののうしつかいのひこほしが、てんていのめにとまりました。
てんていが、ふたりをあわせたところ、
「なんとうつしいかたですね。おなまえをおしえてください。」
「おりひめともうします。あなたのおなまえは?」
「わたくしは、ひこほしともうします。」
ふたりはたちまちおたがいのことががすきになり、けっこんすることになりました。ふたりはとてもしあわせでした。
しかし、ふたりのなかがよすぎたので、こまったことがおこりました。
あれほどはたをおるのがすきでだったおりひめが、はたにはみむきもしなくなり、はたをおらなくなってしまいました。
あれほどはたらきものだったひこほしも、うしをひいて、たはたをたがやすことを、いっさいせずはたらかなくなってしまいました。
ふたりを、みまもっていたてんていは、これをみておこってしまいました。
てんていは、ふたりのあいに、あまのがわをながし、ふたりをあえなくしました。
あまのがわのかわはばはひろくて、どんなにおおごえでさけんでも、むこうぎしにはきこえません。まして、すがたをみることはとうていできませんでした。
おりひめは、ひこほしにあえなくなったさみしいひびをまぎらすために、またはたをおろうおもいました。しかし、はたのまえにすわっても、なみだがでてくるばかりで、ひとつもしごとがはかどりません。
ひこほしも、まいにちおもいにふけるだけで、しごとがてにつかかず、うしをひかなかったため、たはたはあれれていきました。
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